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王様と占星術

相変わらず、巷では占いが流行っているようです。
占星術や四柱推命、姓名判断など、知り合いにもはまっている人はいるかも知れません。自分は興味がなくても、彼女や奥さんや母、まれに旦那や父がはまっているケースも多いようです。

占いといえばなんですが、2007年9月、東京の地下鉄電車の中で、2人の不思議な50代女性と知り合いました。 翌週には青山のランチ会に同席、その翌週には彼女達の良く行くカフェでお茶。彼女たちは、田園調布に居を構えるいわゆる富裕層で、ひとりは某有名銀行副頭取の奥方。不思議なオーラとエネルギーを持った人たちでした。

その片割れの方と最後に会ったのは、2008年初頭、渋谷東急のケーキ屋さん。
頼みもしないのに、「あなたの時を見るから」といって「占星術」らしきもので何か計算し始めました。僕は、ケーキを食べ、紅茶を飲みながら、目の前で頼んでもいない僕の時を計算している彼女の姿を見ていました。

「人の歴史は星の周期でまわっているの。2004年から2007年は素晴らしい時期だったでしょう?でも、あなたはここから2008-2009と一番大変な時期に入るの。ここは本当に苦しいと思うけど、どれだけ種をまくかで、刈り取りの時期が変わってくるわよ。ただ、2010年から運気が戻り始め、2012年からが『時』ね」

「占いは信じないですよ」と返しましたが、内心「この先悪いのか…」と少々ショック。

しかし、いわれれば確かに、2004-2007年はすべてが恐ろしく順風万帆でしたが、2007年後半から2010年前半は(客観的に見ると)真空パックに入れられた人形が上下にコチコチ振られているような時期だったので、結果として、根拠レスな占いは意外にも当ってしまったわけです。

いずれにせよ、自分の意志を超える「時」の意識を持つことによって、現在をあるがままに受け止めたり、良い方向性に解釈することができて、多少なりとも気持ちが楽になるのは事実です。「しょうがねえな、大殺界だし」と。

古来から、時の権力者たちは尊敬できる”師”や”預言者”を抱え込み、彼らの指南を受けていました。支配者たちの抱えていた栄華と権力(圧倒的な自意識)の裏にある孤独と恐怖(過剰なフォビア)は並々ならぬものだったがゆえに、人知を超えた支柱のようなものを必要としたのでしょう。

いっぽう、現代は平民、権力者の器を問わず、誰もが古来の王達が抱えていたある種の重責を負担させられている時代なのかもしれません。民主主義とパーソナライゼーション、グローバル金融経済への自動参加、そして情報技術革新の波。つくられた「全能感」は、ときとして小さな王様気分の私たちを孤独な(でも小規模な)ピエロにします。そこに生まれる、占いニーズ。

とはいえ、占星術は元々「天動説」に基づく技術なのだそうで、科学的根拠はすでに失われています。にも関わらず、心の問題においては未だ非科学的なアプローチが元気なのは興味深いところです。

では、「地動説」から始まる科学的な心理アプローチとは?やっぱり、『山登り』や『マラソン』あたりかもしれません。スポーティー&ヘルシーなのはもちろん、『ECO』や『LOHAS』という概念とうまく調和しながら、地球の自転を感じてクリーンな気持ちになれます。

しかし、実際登っているときや、走っているときの苦しさは尋常ではありません。噂によると、元々マラソンは25マイル前後、というざっくりとした取り決めだったらしいのですが、イギリスの女王アレクサンドラが、自分の子供や孫が城の窓からスタートを見れるようにと城の芝生までスタート地点を延長するように命令したため走行距離が42.195kmに伸びたそうです。自分勝手ですね、科学も非科学も関係ない、単なる王様のわがままです。マラソン走行距離の根拠は、占星術よりも浅はかだった、ということです。

名古屋マラソンへの出場、来年は具体的に検討してみたいと思います(^ ^)v

2010年09月12日 | スタッフブログ